ガイドの日記帳 〜つれづれなるままに〜

小笠原諸島母島のネイチャーガイド、フィールドエスコートhilolo・梅野ひろみが母島の大自然の魅力を紹介しています。

2022年03月07日

ガイドの日記帳 母島の秘境

IMG_8413石門カルスト台地.jpg母島の秘境:石門は原生性が高い貴重な地域として、様々なルールを設定して利用さ
れていますが、入林禁止期間が終わり3月1日から利用が再開となりました。2月中に
は近自然工法(林内の石や木を利用して道の補修を行う)による作業が行われ、傷ん
でいた土留めの木を交換したり、崩れていた路肩に石を積むなどして道を修繕し、安
全に歩行できるようになりました。私も2日間作業のお手伝いをしましたが、北海道
から指導に来てくださるかたの技術の高さにいつも感動してしまいます。石門ツアー
に参加されるかたは、是非道の修繕のあとにも注目してみてください。3月の石門は
花の開花等は少なめなのですが、リュウビンタイやシマオオタニワタリなどの大型シ
ダが生き生きとして美しく、気温もまだ低めなので歩きやすい季節です。3月中は一
部利用不可のルートもあるため、全ルートを歩きたいかたは4月がお勧めです。
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2022年02月27日

不思議な青い実

P1160229タビビトノキの実.jpg母島の南進線沿いで見かけるタビビトノキ(旅人木)は、バナナやヤシによく似た葉のゴクラクチョウカ科の植物です。もともと母島に自生するものではなく、マダガスカル原産の外来種で植栽されたものですが、高さ10mほどになりエキゾチックな姿は青空によく映え南国を感じさせてくれます。面白いと思うのはストレチアによく似た花が終わったあとにできる青い膜に包まれた実です。送粉するのは哺乳類だといわれていますが、母島ではオガサワラオオコウモリや鳥などが送粉者なのかも知れません。「種子の宝石」ともいわれるくらい、自然界ではありえないようなブルーの実は、万年青橋のあたりに落ちていることがあります。近くに行かれた時には探してみてください。
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2022年02月24日

軽石

P1160245軽石.jpg少しづつ日の入り時間が遅くなってきて、母島到着後も散策が楽しめる時間が長くなってきました。到着後のお散歩コースでおススメの「脇浜なぎさ公園」で先日見かけた軽石についてご紹介したいと思います。昨年、福徳岡ノ場で噴出した軽石が沖縄方面や伊豆諸島方面に大量に漂着してニュースになっていましたが、少し遅れて母島にも漂着しました。色は灰色〜やや黄色みがかったものが多く、よく見ると色々な形質の粒々が含まれています。鉱石に詳しいかたが教えてくださったことでは、緑色っぽい結晶が橄欖石(かんらんせき)、黒っぽい柱状の結晶が輝石、粒がやや大きく白っぽいのが斜長石だそうです。軽石は漂流しているうちに崩れていくためとても大きなものは見かけませんでしたが、まだ肉眼でも観察して楽しめる状態です。波打ち際で見つけたら観察してみてください。
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2022年02月11日

ガイドの日記帳 灯篭草

P1160192セイロンベンケイ.jpg2月になり母島では北西の風の日が多くなりました。晴れると半袖でも大丈夫なのですが、曇りの日は風が冷たく感じられます。今朝は寒いな、と朝のゴミ出しにいくとき寒暖計を見たら13℃でした。そんなとき、内地よりずっと暖かいのに寒いなんて言って申し訳なく思います。さて、母島で人気のコース乳房山ですが、季節を早どりしたヒメツバキの開花がちらほら見られますが、今の時期に目をひくのはセイロンベンケイだと思います。小笠原ではハカラメ(葉から芽)の名前で親しまれていますが、提灯のような形の下から赤いスカートのような花が咲くと、メジロやメグロ等の鳥が蜜を求めて集まってきます。昔は灯篭草(トウロウソウ)ともよばれたそうで、島の人にも馴染ぶかい植物です。小剣先山入口にも群生していますので、そちらも是非ごらんください。
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2021年12月22日

冬至

P1140562.jpg 母島も北西の風の日が多くなり冬を感じる毎日ですが今朝7:00の屋外の気温は18℃、長く母島に住んでいると18℃でも寒く感じてしまいます。今日は冬至で昼間が最も短い日ですが、母島の日出は6:17頃・日没は16:43頃です。明日から少しずつ昼間の時間帯が長くなるのが嬉しいですね。日本には冬至の日にはカボチャを食べたり
柚子湯に入るなどの風習がありますが、柚子が手に入らなかったので、シークワーサーとバスクリンの小笠原レモンの香りでお風呂に入ろうと思います。今年は母島のシークワーサーが豊作で母島農協売店でよく見かけました。シークワーサーには免疫力アップや認知症予防効果の他にも様々な効能があるそうです。黄色くなったシークワーサーは甘みがあり、温州みかんのような味で絞って生ジュースで飲んでも美味しいです。見かけたら購入してみてください。
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2021年11月28日

レッド・パウダーパフ

IMG_0593レッドパウダーパフ (002).jpg内地からの初雪の報告が続いていますが、母島もこの頃北風の日が多く冬に近づいているのを感じます。母島の山ではオガサワラグミの花が咲き始めたようで、歩いているとふと甘い花の香りを感じることがあります。晩秋の季節感を感じる母島の集落で開花中のこの赤い花はレッド・パウダーパフ(紅合歓:べにごうかん)です。化粧用のパフに似ているのでこんな名前が付いたのでしょうね。糸状の集合体は花びらではなく雄蕊が集まったもので、触るとちょっとベタベタします。花言葉は「高潔」「澄んだ心」だそうです。南進線の中ノ平橋の近くにもありますので、島内観光の車上からも探してみてください。
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2021年11月06日

台風20号後の森で

20211106シマゴショウとシマオオタニワタリ.jpg2019年の大型台風と同じような進路と勢力の予報だった台風20号ですが、通過が早かったためか被害が少なく済みホッとしました。しかしながら南崎・乳房山・石門等では堅い木が強風でねじれ折れたりした様子で、あらためて台風の猛烈な風の力に驚きました。画像は樹高10mほどの高さの枝に着生したシマオオタニワタリとシマゴショウですが、台風の強風に持ちこたえていてホッとしました。シマゴショウはコショウ科の固有植物ですが、特に母島の湿性高木林に多く見られます。ペペロミアで検索すると世界中に仲間があるのがわかります。
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2021年10月24日

硫黄島の沈没船

20211024硫黄島の沈没船 (002).jpg最近、日本各地で地震や火山活動等があることや、今年8月に福徳岡ノ場で大規模な噴火があったことなどから、先日のTV番組で硫黄島の沈没船について報道があったようです。硫黄島の隆起によって沈没船がむき出しになっているという情報のようでしたが、それはずっと以前からのことです。画像は2006年に小笠原村の硫黄島訪島事業(墓参と慰霊祭)で硫黄島を訪れた際に撮影したものですが、そのときもこのような状態でした。最近の同じアングルでの写真があれば比較できますが、急な隆起によって起こったことではないことをお伝えしておきます。
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