ガイドの日記帳 〜つれづれなるままに〜

小笠原諸島母島のネイチャーガイド、フィールドエスコートhilolo・梅野ひろみが母島の大自然の魅力を紹介しています。

2023年05月03日

ガイドの日記帳 サンコタケ

20230503サンコタケ.jpgこの頃母島の森の中で一際目立つ橙色のカニカマのようなキノコ、サンコタケ(三鈷茸)はカサがないキノコです。幼菌のときの形状はウズラの卵くらいの大きさで色は白色ですが、そこから3本ほどの橙色の托子という腕のような突起が伸びてきます。画像を見て頂くとわかるように、托子の内側に黒褐色のドロッとしたものがあり、これはグレバとよばれ悪臭がしますが、昆虫をおびき寄せ胞子を運んでもらう役割があるということです。写真を撮っている間にも確かに沢山の小さな虫が集まっていました。うっかり触ると動物の糞のような臭いが手に残ってしまうので、見るだけにしたほうがよいです。
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2023年03月28日

ガイドの日記帳 真夜中に鳴く鳥

P1220429トラツグミ アップ.jpg先日から霧がかかりやすい気候になった母島です。脇浜にはネムリブカが集まり、カ

メ生簀でアオウミガメが見られる時期になりました。この時期、真夜中から夜明け近

くに森の中から「ヒィー」「ヒョー」という寂し気な鳴き声が聞こえる日が多いので

すが、鳴き声の正体はトラツグミです。母島では留鳥で都道沿いや森歩きでよく見か

ける鳥ですが、内地では声が聞こえても姿がなかなか見られないそうです。羽の色は

黄褐色と黒褐色、地上にいても見つかりにくい保護色で、ミミズや落ち葉の下の昆虫

を食べます。南崎遊歩道などではまるで道案内しているように、トラツグミがツアー

の先頭を歩いていることもあります。警戒心が強い鳥なので、あまり近づかないよう

にすると写真が撮れます。
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2023年03月12日

ガイドの日記帳 鳥の撮影ポイント

P1220491キジラミを食べるメグロ.jpg母島に来島したら是非メグロの写真を撮影して帰りたいと思われるかたが多いと思いますが、特別天然記念物のメグロですが、意外に動きが早く写真におさめるのが難しい鳥です。本来なら固有種の植物とメグロのツーショットなど撮れると最高なのですが、一番撮影しやすいとこの頃感じているのが外来種のギンネムの群生地です。このギンネムには今の季節特にギンネムキジラミという小さな虫が発生しやすいのですが、どうやらその虫を目当てに鳥たちが集まっているのです。メグロの他、ハシナガウグイスやメジロ等が群れてギンネム林を枝伝いに移動しているのを見かけます。静沢戦跡Aやフルーツロードは沖港から歩いても行かれるのでおすすめです。
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2023年02月28日

ガイドの日記帳 乳房山開花情報

P1220128シャリンバイ.jpg北東の風が吹くとまだ寒い日がありますが、楽しく山歩きができる季節です。乳房山の植物の開花状況ですが、シャリンバイが各所で開花中です。登山道にもシャリンバイの花びらが沢山落ちています。また、わずかですがムニンヒメツバキやテリハハマボウも開花中です。乳房山中腹の見晴らしがよい岩場で目立っているのはセイロンベ
ンケイの花です。釣鐘上の花はまるで赤いスカートを履いているようで、昔は母島の女の子たちが人形に見立てて遊んだそうです。乳房山を歩くときの参考にしてください。
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2023年01月13日

ガイドの日記帳 ウルトラマンの実

P1210459モモタマナ.jpg母島も1月は北東の風の日が多く、少し肌寒く感じる日もありますが森・山歩きには最適な季節です。昨日、乳房山を歩いているとモモタマナの葉が赤くなり落葉している場所がありました。周囲にはやはり赤く色づいているモモタマナの実が沢山落ちていました。ネズミの食痕なのか果肉が食べられているモモタマナが多く、拾い上げて見ると以前ウルトラマンの顔に似ていると聞いたことを思い出しました。ウルトラマンの生みの親は沖縄出身のかただそうですが、モモタマナの実からウルトラマンの顔を発想したのだそうです。素晴らしいインスピレーション!ウルトラマン懐かしいな、と思いながらウルトラマンの歌を歌いながら下山しました。
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2022年12月19日

ガイドの日記帳 ヒシクイ

P1210348ヒシクイ.jpg早朝の前浜を歩いていたところ、ココヤシの根元付近をヒシクイが歩いていました。この鳥は母島の留鳥ではなく渡り鳥で、先月、もしかしたら10月末くらいから母島で見かけています。水鳥で沼や湿地や水田等に生息し、とても警戒心が強い鳥なのだそうですが、このヒシクイはとても人馴れしている感じで、全く人から逃げようとしません。初めて見かけた頃は、渡りで体力を使い果たして疲れているから逃げないのか?と思っていましたが、どうやらそうではなさそうです。水辺の草本類や稲穂がない母島では、餌になるものがなくやがて弱ってしまうのではと心配していましたが、観察してみると今日はセンニチノゲイトウやシマニシキソウやイヌビエなどを食べているので、母島にあるもので凌いでいるようです。肉付きもよく弱ってもいない様子なので、体力を蓄え春になったらまた旅して北へ戻って行かれるのでは?とちょっとホッとしているところです。
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2022年11月17日

ガイドの日記帳 乳房山開花情報

20221117P1200871ハハジマカナガサノキ.jpg母島の秋も深まり、森山歩きに最適な季節になりました。乳房山の登山道では、テリハハマボウ・ムニンシュスラン・テイカカズラなどが開花中で、足元を見るとテリハボクやタコノキ、ヤロード、シマホルトノキの実などが落ちています。ときおり風が吹くとふっと漂ってくる甘い香りにオガサワラグミが開花しているのを感じ、もうすぐ母島の冬がやってきて乳房山からザトウクジラがみられることが楽しみです。画像は固有植物のハハジマハナガサノキの実です。土偶の顔のような面白い形をしていいますね!この植物の仲間は熱帯地域に80種類もあるそうです。蔓性植物で他の樹木にからみついて実が付いていますので探してみてください。
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2022年11月02日

ガイドの日記帳 ムロアジ

20221102ムロアジ.jpg10月末から何度か大雨に見舞われている母島ですが、こうして少しづつ秋の終わりに向かっているのを感じます。亜熱帯の常夏の島と謳われるものの、住んでいる者ならではの季節感があり、そのひとつがムロアジです。この季節のムロアジは丸々と太っていて、脂ののりもよく内地の感覚でいうと秋のサンマさながらです。小笠原の魚の刺身の食べ方でかかせないのが小粒の青唐辛子ですが、醤油皿に乗せた青唐辛子を箸で崩しながら、ムロアジの刺身を頬張る至福のひととき、そこに母島の秋を感じます。昭和の時代には棒受け網漁で沢山のムロアジが捕獲され、母島でもクサヤ作りがおこなわれていましたが、平成の始めにクサヤ作りも終わり、先日漁協売店で久々にムロアジの販売を見たときには懐かしさを感じました。味噌と一緒にたたきにしてもとても美味しいです。ご旅行の際に夕食で提供されたらラッキーと思ってくださいね。
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