
先日、母島南部の森を歩いていたところ、ホルトノキに実が付いているのをみかけました。ホルトノキは、母島には少ない樹木ですが、日本国内では関東南部〜九州・沖縄方面の海に近い地域に自生する樹木で、伊豆諸島にも分布しています。八丈島では「チギ」「チギノキ」とよばれ、実の果肉は子どもが森で遊ぶときのおやつにもなったそうです。母島にも近縁種で小笠原固有種のシマホルトノキがありますが、八丈島からの移住者が多かった小笠原では、年配のかたはシマホルトノキのことも「チギノキ」とよぶことがあります。シマホルトノキの実は、小笠原固有亜種のアカガシラカラスバトが好んで食べますが、母島中北部の土壌が湿潤な森に多い樹木です。実はどちらもオリーブによく似た形で、オリーブのことを「ポルトガルの木」とよんでいたことがホルトノキの名前の由来になったそうです。